折り紙による、シンプルなイルカ

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私は今まで、人に折り方を伝えることを前提に作品を作ったことは、あまりなかった。 そもそも自分の力量で出来る作品が、人に教えるのに十分な魅力を持っていないと考えていた。 また、「人に教える」ために、出来るだけシンプルに作ろうと、表現の幅が狭められてしまうのではないかと恐れてもいた。

しかし、シンプルも、極めれば美しさになる。 この作品を通じて、そう信じられるようになった。

CONCEPT

1-1. 折りやすさとデザイン性の共存

 折りやすい、けれど素晴らしい仕上がりになる、という作品を作るのは難しい。 折りやすさ、という足枷を付けた上で、良いデザインを作るための道のりを歩くから。

そう思っていたが、今まで折った作品でも、最終的に折りやすい形の方が美しい見た目をしていると、ふと思い当たった。

もし、折りやすい形が自然と調和のとれた形になるのであれば、折りやすいように折っていけばそれでいいのではないか? そこで、ひたすら折りやすさを求めてみよう、というコンセプトを決めた。

1-2. 頭の中で紙を折る、ということ

折り紙をデザインする上で最も重要な能力は、紙を折った時に何となくどういう形になるかわかる能力だと思う。 それは言うなれば、頭の中で仮想の紙を折ることができる、ということだ。

私はずっと折り紙に触れてきて、ようやく少し、紙を折ることで出来る形を想像できるようになってきた。 しかし、どのくらいの大きさになるか、ということをイメージするのは難しい。 折りによって、どのくらいの紙の面積が折り畳まれるかを常に考えるのは至難の業だからだ。

それでも、生き物の足や頭を正確な比率で表現することは、その生き物らしさ、を表現する上でとても重要だ。 今回は、その正確な比率を感覚的に理解する、ということもテーマとしていた。

1-3. 直線のみで生き物を表現する

生き物のどこにも、直線で出来ているものは無い。 自然のどこにも無い、と言ってもいいだろう。 直線は、人間が引いて初めて生まれる。 しかし不思議と、直線だけで描かれたライオンや木も、ライオンと木に見える。 つまり、例え直線だけであっても、「ライオンらしさ」や「木っぽさ」を表現することは出来るのだ。

今回はその試みを、本来美しい曲線が特徴的な、イルカというテーマでしてみようと思った。

DESIGN

2-1. イルカを知る

何はともあれ、まずはイルカについて知らなければ始まらない。 図鑑を見たり、Pinterestで写真を検索したり、動画を見たりし、生態や形について理解を深めた。

この過程で気付いたことは、青と白の流線型のものを見ると、例えヒレなど何もなくとも、何故かイルカに見えることがある。 イルカ、と思っているからそう見えるだけかもしれないが、反射的に考えるものの中に、イルカという選択肢がある程度には、イルカは私にとってなじみあるもののようだ。

2-2. 背びれの表現

私が見てきた、過去の折り紙によるイルカの作例では、基本的に背びれは紙の中央から折り出すものが大半だった。 私の例に漏れず、丁度紙の中央を背びれの表現に使った。

一番簡単な見立ては、直角二等辺をそのまま背びれとして表現することだろう。 しかし、そうすると何故か鮫のように見えてしまう。 これは、鮫の背びれの方が、より直角三角形に近い形をしており、かつ長さもイルカより長いためだと思う。

この問題を解決するために、直角三角形の構造は変えず、胴体を少し折り曲げた形として表現することにした。 結果、背びれが斜めに傾いているように見え、イルカのものに近づいた。

2-3. 尾ひれの表現

尾ひれは、当初、シンプルな三角形として表現することを考えていた。 しかし、背びれや胸びれの表現の解像度と合わない、ということが直ぐに判明した。 そこで、より本物に近い表現を模索した。

最終的には、22.5度系で試していた時に見つけた構造を、そのまま整数角度系で折ったものを選択した。22.5系では組み込みにくい構造だが、整数角度系で蛇腹のグリッドの中にはうまく収めることが出来た。

2-4. 胴体から頭にかけての表現

胴体から頭の表現で苦戦したのは、胸びれの角が出る位置だ。 背びれに使用した、紙の重なりを流用するのが最も簡単な方法だが、何も考えずに角を出すと、胸びれが大きすぎたり、妙な位置から出ているように見えたりしてしまう。

最終的に、背びれと尾ひれ用の、中央に位置するヒダの幅を基本グリッドの半分にすることで、胸びれの位置を調整することが出来た。

COMPLETE SHAPE

CREASE PATTERN

LIMITATION

4-1. 構造の発見

今回は、適切な構造を見つけるために、幾度も実際に紙を折りながら試行錯誤していた。 もちろん、ある程度の習作は必要だが、より感覚的に、紙の中に各パーツを適切に配置できるようになる必要を感じる。

4-2. 見立ての精度

私にとっては、22.5系よりも、整数角度系の方が扱いやすい。 そのため、整数角度系を好むわけだが、それが自分の独自性にも繋がってくると思う。 しかし、整数角度系は、時に制限が多すぎるゆえに、折りにくくなってしまうことがある。 折りやすさと、見立ての美しさを、より共存させられるようになりたい。

THANK YOU!

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。暑さも日に日に激しくなっていますが、変わらずひたすら紙を折り続ける毎日です。 シンプル系の作品については、基本形の展開図も公開してみることにしたので、腕に寄りのある方は是非挑戦してみていただけると幸いです。 また、創作過程についても、比較的詳しく書いてみたので、誰かの参考になれば、うれしい限りです。

今後も月に一度程度、更新していく予定なので、よろしければお付き合いください。

Tomoaki.H.

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