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ヴィクター・ハンクの手記

 とても長い時間、明晰な夢を見ていた気分だ。夢の中では、常にどこか違和感があったように思う。つい先程、その理由が分かった。

 「私は知らぬ間に、他人と夢を共有させられていた」

 (私の記憶では)私は、イングランド及び北部ヨーロッパ連合国の、旧イングランド(もはや地理的な情報はさほど重要ではないが)でBG社お抱えの仮想物理学者として働いていた。研究内容は、大半の仮想物理学者と同じく、仮想空間の物理法則についてだ。

 ところで、この手記は5年前に脳を再結線した際にインストールしたブレインノートパッド(確か1000€ほどぼったくられた)に書き込んでいる。他にも山ほど拡張はあったはずだが、何故かこれともう1つしか残っていなかった。何もないよりはましと思うべきか。

 ともかく、自我は回復したが脳の半分のリソースを、私をこんなところに連れて来た連中に使われているようだ。(何でわかるかって?そりゃもちろん常に自分が考えてないことを「考えてる」のが分かるからだ)

 何とか、この頭の中に同居してる奴らを一時的にでも分離しないことには始まらない

 そもそも、私がなぜ「夢」から覚めることが出来たのか、記録しておいたほうがいいかもしれない。

 知っての通り、現代の直接脳波挿入型の仮想空間プラットフォームには「一定多数合意形成型動的エンティティ修正機能」(どうしてこんなクソみたいに長い専門用語ばかりなんだ?いい加減人間の言語野の根本的修正をするべきだ)が導入されていることが殆どだ。

 つまり、ある一定仮想時空領域に、「何か」を求めるユーザーが「多い」場合、(大抵それとわからないうちに)その「何かが」動的に修正される。こいつのお陰で、アクティブユーザーが一斉に自分の欲しい物をやたらめったらリクエストする事態を防げるってわけだ。

 勿論、この機能で一人ぼっちの妄想屋が大富豪になることは出来ない。妄想屋はどうしたって「一定多数」にはなれないからだ。この機能に関しちゃ色々研究してきたが、まあ裏技みたいな方法もある。つまり、同時空仮想領域内のユーザーに自分の望みを持ってもらえば、自分の望みを持った「一定多数」が作れるわけだ。

 直接他人の脳内をいじくり回すのではなく、ブレインインターフェースから送信される情報に、任意のデータを紛れ込ませるわけだが、自分の脳からも勿論データはごまんと送信されてる訳で、その自分の脳に物理拡張したコードを仕込んでおけば、どうしたって閉じられないセキュリティホールから、他ユーザーの回線の一部をいじることは造作もないことで・・・

 まあ、技術的なことは置いておいて、オレは「夢」の中で、(半分無意識に)そいつを実行した結果、どっかのゲームのバグみたいに「夢」の中で床を抜けて、現実世界で目覚めたってわけだ。

 ともかく観察することが多すぎてどこから記録して良いか分からないが、ともかく記録していく。

 

 拍子抜けなほど、すんなりとデータベースにアクセスすることが出来た。私が「夢」と呼称していた、人々が意識を共有しながら接続している仮想世界の中で、インターフェースを呼び出すだけで事足りた。

 セキュリティがない、というより、むしろ誰でも見られるような設計になっているようにも感じる。

 問題は、この膨大な量の資料をどう読んでいくか、だ…<図書館>

 この世界は、作られた世界のようだ。私がいるのはEncounter号という宇宙船らしい。いつ乗り込んだかは見当もつかない。中央には、全てのエネルギーを供給する核融合炉がある。

 昼間は地上部にエネルギーを供給し、夜間はインフラ部分に供給部に供給されるため、地上部への供給がある程度カットされる。

 この世界に存在するものは、全て汎用マテリアルというプログラミング可能な物質で出来ているようだ。そのような技術が開発されているという話は聞いていたが、まさか実用化しているとは思わなかった。

 そして、このことから推測するに、私自身も汎用マテリアルから生成されたコピー品なのかもしれない。<SAN値チェック>

地下食糧供給網を伝って、C地区に行った。砂の町のようだ。人々は温厚だが、強靭な意思を持っている。

 人々は私のことを「 予定者 」という者だと勘違いしているようだ。(もしかしたら私が知らないだけでそうなのか?)

ラーマという少年が、唯一私に興味を示して近づいてきた住人だった。彼の両親は戦死しているようだ。彼の住まいの一部を借りて、この町について調べることにする。

どんな者でも構わないから、この船を止める助けになる者に私の言葉を伝えるため、船の認証システムにメッセージを残した。

ティーシア神話

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